ITと製造業の間で呻く

組込み系元SEの呻き

受託開発で安く技術をたたき売っていませんか?

ソフトウェアの受託開発はハードウェアの受託開発と違い
量産フェーズで儲けるという仕組みがないため
設計して、開発が完了した段階で損益が確定することがほとんどです。
(ソースも、バイナリもその他、著作権まで含めて渡すことが多いと思います)

また、苦労して1回作り上げて安定したころに機能強化や次機種開発などの
追加開発が発生しますが、前述のとおり成果物はすべてお客様にお納めしているため、
「次はもっと安いところに出すわ」とか「もう内製するよ」といったことを言われることも多いと思います。

ここで営業部門が1回目の開発はお客様に入り込むために安くしてでも
取りたいといったことを言って、2回目以降に回収しましょうといった皮算用を
立てていることもあると思います。
1回目安くして、2回目とれないとか2回目はもっと叩かれるという経験も
多いのではないでしょうか?
こんなのが続くとジリ貧です。

ここからが本題ですが、技術開発というのは金がかかり、
利益から、再投資を回す必要があります。
前述のような負のループの状態で再投資が難しくなると思います。

何とか受託で食いつないでいるけど、ほとんど固定費の回収に割り当てていて
将来のことには手が回ってません。ということありませんか?
過去の投資分も回収できていますか?

こうやって、先行投資ができないまま過去築いてきた
自社の技術を切り売りしているうちに自社の保有技術が陳腐化し、
さらに収益が悪くなるということを繰り返していないでしょうか?

経営者には選択が迫れれています。
このまま、技術の切り売りをしてゆっくり死ぬのか。
自分たちでリスクを取り製品、サービスを作りだすのか。

日本の企業は過去の技術貯金で何とか食いつないでいますが
例えば、組み込み業界ではソフトウェ受託会社の発注元の
日本国内のメーカーがPC市場から撤退し携帯も撤退し
世界に先行する技術開発ができる場面がなくなってきています。

あとは自動車と医療ですが、人間の生死にかかわる部分にどれだけ関与できるかですが
それこそ最初に大きな先行投資が必要でしょう。

 

 

なぜ技術経営はうまくいかないのか―次世代の成長を生み出すマネジメント

なぜ技術経営はうまくいかないのか―次世代の成長を生み出すマネジメント

 

 

 

新版 商業経営の精神と技術

新版 商業経営の精神と技術