SIerが立ち上げた新規事業はほぼ確実に失敗する
おそらく、規模の大小にかかわらずSIerと言われる業界の人は
「人月商売は終わった、これからはサービスだ」と言われているに違いない。
そして、次の一言は「新規事業、新規サービスだ」とも言われているだろう。
こうして大号令により新しい事業を立ち上げるだろうが
それは「必ず失敗する」だろう。
私は、その要因は「盲目的な事業判断」にあると考えている。
おそらく作ったものの「品質が低い」という理由で失敗する事業よりも
「最初から市場がなかった」という理由で失敗する事業のほうが圧倒的に多いと感じている。
これは、事業を進める最初の時点で、盲目的な事業判断を行い
本来進めるべき事業でないものを進めてしまった結果だと考える。
いやいや、誰も盲目的に判断なんてしてなくて
社内ルールにのっとり審査をして進めてますよ。
というかもしれない。
しかし、SIerの社内ルールというのは
受託ビジネスが前提となっているので
サービス事業を立ち上げるのには役に立たない。
例えば、用件は明確か?といったルールがあったとする。
これは受託開発の場合は有効だが、新規のサービスを立ち上げる場合
明確になっていることはほとんどない。
もし、明確になっているのであれば他の誰かががすでにやっているだろう。
また、最終的に事業のGo/No Goを決めるのは人だ。
しかし、判断する人に事業を立ち上げた経験がなかったらどうだろう?
いくらまじめに議論したところで正しい判断になるとは限らない。
SIerの場合、今役員や部長以上の事業を判断する人は
多くの場合、ずっと受託ビジネスをやってきた人であることが多いので
先行投資が伴うビジネスの経験がない。
もっと言うと製品の企画をしたことがないといってもいいかもしれない。
そういった経験が乏しい人たちが何かを判断しても
盲目的と言われても仕方がないだろう。
では、どうすれば新規事業、新規サービスが成功するか?
前提として100%成功する方法はない(あれば私がやって億万長者になっている)。
ただし確立を上げる方法はある。
それのためには盲目的な事業判断を回避すればよい。
私は次の2つの方法があると考えている。
1.事業会社を買収する
事業をやっている会社を買収し、先行投資型の事業はそこのセクションで実行する。
利益に応じて受託部門から人材をシフトしていけばいい。
時間はかかるし、買収した側のSIer幹部は嫌がるかもしれないが
事業を立ち上げるというノウハウの吸収にはいい方法だと考える。
2.経営判断を行う場に、社外の知見のある人を加える
社外取締役のような役割で、対象となる事業についてパートナーシップが組めるような
事業会社の経営者や幹部にレビューアーとして参加してもらう。
1の方法よりも幹部のアレルギーは少ないかもしれないが
まずパートナーを見つけるのが難しいかもしれない。
また、経営コンサルに依頼すればいいじゃないかという考えもあるが
実際のビジネスを経験している事業会社の経営者のほうが
ふさわしいと考える。
一番なのかもしれない。
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